PEDIATRIC DENTISTRY
乳歯と永久歯、同じ歯だと思われがちですが、実は構造が異なります。乳歯は生え変わることが前提の歯なので、非常に柔らかく、むし歯の影響を受けやすいうえに、進行も早いです。そして、実は永久歯にとっても大変重要な存在なのです。健康な乳歯が揃っていることは、噛むことによる顎の発達や体の成長にも大きく影響します。また、歯が生えそろっていない赤ちゃんには、「〇歳になったら、こういう歯が生えてくるので、その時はこういうケアをしてください」といったアドバイスもいたします。
乳歯は5~6歳で永久歯に生え変わります。(個人差があります)約6年の短い期間に子供の成長において多くの大切な役割を果たしています。
乳歯には役割が大きく3つあります。
噛むことができるように
よく噛むことは、子供の成長・発達に必要な栄養が効率よく吸収され、脳の発達にも役立つと言われています。
発音が上手になる
乳歯のおかげで舌を正しい位置に置けるようになります。たくさんの言葉を学習する幼児期は、歯が健康であることで正しくキレイな発音が可能になります。
永久歯の生え変わりを誘導
乳歯から永久歯に生え替わる時期になると、乳歯の根は吸収され、乳歯が自然と抜け落ちて、次に生えてくる永久歯が正しい位置に生えるように誘導してくれます。そのため、乳歯が早期にむし歯で脱落していると、不正咬合(歯並びや噛み合わせが良くない状態)の原因になる場合があります。
むし歯予防は習慣から
このように大切な役割がある乳歯を、むし歯のまま放置しておくことは、将来の成長に大きく影響を与えてしまう可能性があるのです。むし歯にならないように、フッ素塗布、シーラントで予防することも可能です。
むし歯予防は習慣から。普段の生活習慣が深く関わっています。それでも、もしむし歯になってしまったらできるだけ早めにご相談ください。早期発見で、痛みがでないことを目標に治療を行っていきます。
お子様が安心して治療を受けるための取り組み
歯医者さんを好きになってもらうためのステップ
ふるかわ歯科では、「歯医者さんは怖い…」と思っておられるお子様に無理強いはしません。まずは歯医者さんに慣れるため、部屋に入ることからはじめ、実際に使用する機械や器具に遊び感覚で触れていただいております。「見たことがない」「わからない」から恐怖に繋がるので、治療に対する恐怖心を取り除いてから治療を行います。
歯医者さんを怖がっている、嫌がっているお子様には、段階的なトレーニングで対応いたします。
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STEP1
まずはお部屋に入ってみよう
ドキドキするかもしれないけれど、安心してね。お姉ちゃんと一緒に中でお話ししよう。_
(何をされるかわからない部屋に入るのは勇気がいるもの。まずは診察室へ入るところからはじめます)-
STEP2
今日はどこまでできるかな?
お口の中のバイキンをお姉ちゃんがやっつけてあげる!バイキンとバイバイできたらすごい!!
(「今日は〇〇までやってみよう」と目標を決めることで、達成に向けて行動する決意が生まれます)-
STEP3
歯医者さんにある機械をさわってみよう
この機械、見たことある?重いかな?ツルツルしてる?さわってみてもいいよ!
(見たことのない機械や器具もまた、恐怖心が生まれるものです。実際に触れることで、「怖そうな器具」から「さっき触った器具」となり、恐怖心が和らぎます)-
STEP4
いつも歯みがきはどうしているかな?
おうちで歯みがき、どういうふうにやっているか見せてほしいな。
(自宅での歯みがきの仕方を見せてもらい、その後、「ここはこうするといいよ」「ママにお願いしてみるね」と歯みがきの練習をします。自分で歯みがきはなかなか難しいですが、やり方を褒められることで自信がつきます。)-
STEP5
実際にお口の中でお水を流してみよう
さっき見てもらった機械からお水が出るよ。これでお口のバイキンとバイバイできるよ。お口を開けていられるかな?
(器具を見ただけでは、実際治療する際にどう使うのかがわからず、突然鳴る音にも「怖い」と思ってしまうお子様も。実際動かすことで「これはこういう風に水が出てくる」「こういう音が鳴る」と認識でき、自分は治療できている!と思うことができます)-
STEP6
ほらキレイになった!
すごい!よく頑張ったね!!
(はじめは怖がっていたお子様ですが、お口がキレイになり、頑張れたことを褒めてあげてください。これで、歯医者さんに対する恐怖心もなくなり、実際の治療に移ることができます)
ここまでのステップをクリアできたら、もう歯医者さんなんて怖くない!
1日で出来れば良いですが、実際はそう上手くいかないもの。
お子様の不安が落ち着くまで、少しずつで大丈夫。クリアできるまで一緒に頑張りましょう。
お子様を虫歯や歯周病から守るために、
予防歯科に力を入れております
フッ素塗布
歯に塗り込むことで、歯の表面からフッ素を取り込み、虫歯になりにくい強い歯(歯質)を作ります。進行してしまった虫歯は自然には治りませんが、初期の虫歯は歯の再石灰化を促すことで治ることがあり、フッ素がこの働きを助けてくれます。また、十分な効果を得るためには、年3~4回塗布を行う必要があります。虫歯の治療や定期的なメンテナンスの際に一緒にフッ素塗布を行うので、患者様のご負担になりません。
シーラント
6歳前後になると、乳歯のさらに奥から大きな6歳臼歯(永久歯)が生えてきます。永久歯の中で、もっとも大切な歯ですが、生えてくる途中は歯も磨きにくく、汚れもたまりやすいので、臼歯を虫歯から守るためにシーラントを推奨しています。シーラントは、奥歯の溝を接着力のあるプラスチックで埋めてしまいます。このプラスチックは虫歯を削ったとき詰めるものと同類のレジンという材料なので、飲み込んでしまったり放置しても問題ありません。1~2日で体外に排出されます。シーラントをすれば予防は十分というわけではありませんので、しっかり歯磨きをし、シーラントがきちんとついているかなどの定期健診を受けることが大切です。
保護者の方にぜひ知っておいてほしいこと
永久歯が外傷等で抜けて(歯牙脱臼)しまっても、適切な処置で歯牙修復が可能です。
転んだりケンカをしたり、また予期せぬ事故などによって子供の前歯が抜け落ちてしまう(完全脱臼)ことはよくあります。その場合、歯科医院へ行く前に必ず適切な応急処置を行いましょう。その後の歯の寿命が全く違ってきます。
症例
- 患者
- 10歳男児
- 主訴
- 前歯をぶつけて抜けた
- 処置内容
- 脱臼歯再植固定術
- 費用
- 健康保険内
- 治療期間
- 6カ月
- リスク
- 脱臼歯のコンディションによっては生着しないこともある。
脱臼歯は常温の歯牙保存液か牛乳につけて(乾燥させない)、早期に来院することが必要。
焦らないための手順
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手順01
- 抜けた歯を流水(水道水)で10~20秒程度すすぐ。※絶対にアルコールや石鹸、塩水などを使用しないでください。
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手順02
- 抜けた歯の乾燥を防ぐため、卵白または牛乳に歯を浸す。※蓋ができる清潔な入れ物に入れてください。
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手順03
- 出来る限り早く(30分以内が理想)、当院へお越しください。※2時間以上経過すると、歯根膜が壊死し、正常治癒が難しくなります。