投稿日: 2024.11.14 | 更新日: 2024.11.14
大阪市における歯周病問題と予防の重要性
大阪市は日本有数の大都市として知られていますが、その忙しい日常の中で見過ごされがちなのが口腔の健康、特に歯周病の問題です。令和3年の最新の統計によると、大阪府の成人の約73.6%が何らかの要精検が必要だと診断された方がおり、これは全国平均を上回る数字です。この状況は、早急な対策が必要であることを示しています。
歯周病は単なる口内の問題にとどまらず、全身の健康に多大な影響を及ぼすことが近年の研究から明らかになっています。歯周病が引き起こす可能性のある健康上の問題には、以下のようなものがあります。
- 心疾患のリスクの増加
- 糖尿病の悪化
- 認知症を発症するリスクの上昇
- 妊娠中の女性において、早産や低出生体重児の出産リスクの増加
歯周病を予防することによって得られる利点は計り知れず、生活の質(QOL)の向上はもちろん、経済的なメリットも非常に大きいです。健康な歯と歯茎があれば、快適に食事を楽しんだり、円滑に会話を交わしたりすることができ、自信に満ちた笑顔で社会生活を送ることが可能です。また、将来の高額な歯科治療を回避できるばかりか、全身疾患のリスクを低下させることによる医療費の削減も期待できます。
正しい歯磨き習慣を身につける
歯周病を引き起こす主な要因は、歯垢(プラーク)と称される細菌の集まりです。この歯垢を無視すると、次第に歯石に変化し、歯肉に炎症を引き起こすこととなります。従って、正しい歯磨きの習慣を身につけることが、歯周病を予防するための最初のステップとなります。
効果的な歯磨きの方法を身につけるためには、以下の点に注意しましょう。
1. 適切な歯ブラシの選択
- 毛先が柔らかめ~ふつう(硬くない)のもの
- ヘッドの大きさが自分の口に合ったもの
2. 正しい磨き方
- 45度の角度で歯と歯肉の境目を丁寧に
- 1本1本丁寧に、強くこすりすぎない
3. 歯間ブラシやフロスの使用
- 歯ブラシでは届かない部分の清掃に効果的
- サイズは歯間の広さに合わせて選ぶ
また、歯磨き粉の選択も非常に重要です。フッ素が配合されたものを選ぶことで、虫歯予防に対する効果が期待できます。しかし、研磨剤の強さには注意が必要で、過度に強いものは歯や歯肉に対して害を及ぼす恐れがあります。
加えて、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルなクリーニング(PMTC)を受けることを推奨します。この手法により、自宅での歯磨きでは取り除けない歯垢や歯石を効果的に除去することができるのです。
定期的な歯科検診を受ける
定期的な歯科検診の意義は、病状の早期発見と早期治療にあります。初期の歯周病は多くの場合、自覚症状がほとんどないため、定期的な検診が特に重要になります。検診では、視覚的な確認に加えて、レントゲンによる顎骨の状態のチェックも実施されます。早期に病状を見つけることができれば、軽度の段階で適切な対処が可能となり、進行を防ぐことができます。これにより、治療にかかる負担や費用を軽減することができるのです。
歯科医院を選ぶ基準
歯科医院を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください。
- 予防歯科に力を入れているか
- 丁寧な説明と患者とのコミュニケーションを重視しているか
- どのような発信をしているのか
お住まいの地域や通勤・通学経路などを考慮して、定期的に通院しやすい医院を選びましょう。
食生活の見直し
食生活は歯周病予防において重要な役割を果たします。歯周病に効果的な食事には、カルシウムやビタミンCを豊富に含む食品、例えば乳製品や緑黄色野菜、さらに歯ごたえのある食品としてりんごやにんじんが挙げられます。その一方で、砂糖が多く含まれた食品や飲料、酸性の強い食品(例:柑橘類の過剰摂取)については、摂取を控えることが望ましいです。
バランスの取れた食事
バランスの取れた食事は、全身の健康だけでなく、歯周病予防にも重要です。特に以下の栄養素に注目しましょう。
- タンパク質:歯肉の修復に必要
- ビタミンC:コラーゲン生成を促進
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける
間食を選ぶ際には、糖分が少ないものを選ぶと良いでしょう。ナッツやチーズなどは、優れた選択肢となります。また、間食を取った後には、すぐに水で口をすすぐよう心がけると、さらに良いでしょう。
適度な水分補給も欠かせません。水分は唾液の分泌を促進し、口腔内を清潔に保つ効果があります。特に高齢者の方々は口腔内が乾燥しやすいため、意識的に水分を摂取するよう努めることが大切です。
歯周病予防に関するQ&A
歯周病予防に関して、よくある質問にお答えします。Q1: 妊娠中は歯周病になりやすいって本当ですか?
A1: はい、事実です。ホルモンバランスの変化により歯肉が炎症を起こしやすくなるため、妊娠中はより丁寧な口腔ケアが必要となります。
Q2: 高齢者の歯周病予防で特に注意することはありますか?
A2: 高齢者は唾液の分泌量が減少しやすいため、口腔内の乾燥に注意が必要です。また、手先の器用さが低下する場合もあるので、電動歯ブラシの使用も検討するとよいでしょう。
Q3: 歯周病は遺伝するのでしょうか?
A3: 遺伝的要因が歯周病のリスクを高める可能性はありますが、適切な口腔ケアと生活習慣の改善で十分に予防可能です。
監修者情報
大阪市生野区「ふるかわ歯科」
院長 古川 尊寛 からのアドバイス
歯周病は、自覚症状がはっきりとでるまでに進行している場合が多いのです。早期発見が何より重要なのは、そのためです。自分では気づきにくい小さな症状の変化も、歯科医師の目から見れば、歯周病の徴候とわかるものなのです。そのような小さな異変に早めに気づき、適切な処置を施すことで、歯周病の進行を食い止められます。検診で異常が見つかったからと言って、すぐに歯を抜かれるということはありません。むしろ、初期段階で発見できれば、生活習慣の改善といった小さな工夫だけで病状をコントロールできるケースがほとんどなのです。
ですので、歯科検診は1年に1回、せめて2年に1回は必ず受けていただきたいと思います。早期発見・早期対処こそが、健康な歯を残す鍵なのですから。