投稿日: 2023.03.23 | 更新日: 2024.10.10
「歯医者って何だか怖いイメージ。なるべく行きたくない」こう思っている方は、正直多いと思います。実際に、何かトラブルを抱えてはじめて来院される患者さんは多いです。
確かに面倒だし、特に現状困っていないなら、行きたくないと思ってしまいますよね。
しかし、実は困っていないウラでとんでもないことが起こっているかもしれないのです。
歯周病とは?手遅れになったらどうなるの?
テレビCMでもよく聞く「歯周病」。
歯周病とは、簡単に言うと細菌の感染によって歯茎(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気で、2018年に行われた8020推進財団による全国抜歯原因調査によると、歯を失う原因の第一位となっています。しかも、歯周病は、糖尿病や心臓病と同じ仲間の生活習慣病に位置づけられているほどという事実ご存知でしょうか?
引用元:8020推進財団、第二回永久歯の抜歯原因調査
引用元:e-ヘルスネット
最近、口臭が気になる、歯を磨くと出血する、歯と歯の間に物が詰まりやすくなった…
こんな症状はあてはまりませんか?
もし当てはまるなら、それは歯周病のサインかもしれません。
痛みがないため、気付かなかったり放置してしまう人も多く「サイレントディジーズ(Silent Disease)」静かなる病気と表現されています。
歯周病の進行
歯周病は軽度である「歯肉炎」と、軽度から重度に分類される「歯周炎」にわけられます。
歯肉炎は、歯茎が赤く腫れ、ブラッシングで出血することがありますが、この段階なら治療を受ければ完治することが可能です。
歯周炎は、歯茎だけでなく歯根膜や歯槽骨まで炎症が広がっているため、歯がグラついてきます。こうなると、もう手遅れです。
歯槽骨まで破壊が進み、歯を支えきれなくなっている状態なので、抜歯するしかありません。地盤が弱い土地に家が建てられないのと同じです。
歯を抜くことで今後の歯周病の心配はありませんが、再生できないので入れ歯やインプラントで補わなくてはいけなくなります。
歯周病で手遅れにならないために
歯周病で手遅れにならないためには
- 歯垢、歯石を溜めない
- 歯周病のリスク因子(喫煙・肥満・糖尿病など)を取り除く
- 定期検診、メンテナンスをうける
ことが大切です。
歯周病が原因となる病気
歯周病は、口腔内の細菌感染が原因で起こる疾患ですが、口腔と全身の健康は密接に関連しており、歯周病が他の病気と関連していることが多くあります。以下に、歯周病に付随する可能性のある病気をいくつかご紹介します。
歯周病に付随する可能性のある病気
■心臓病
歯周病の進行によって口腔内の細菌が血流を介して全身に広がることがあります。これにより、心臓弁膜症や心内膜炎などの心臓病のリスクが増加することがあります。
■糖尿病
歯周病が進行すると血糖値の管理が難しくなることがあります。逆に、糖尿病が進行すると歯周病のリスクが高まることも報告されています。
■妊娠合併症
妊娠中の女性の場合、歯周病が進行すると早産や低出生体重児のリスクが高まることがあります。
■肺炎
歯周病の細菌が口腔から気道に侵入することで肺炎を引き起こすことがあると言われています。
■関節リウマチ
歯周病によって生じる炎症性物質が関節に影響を与えることがあり、関節リウマチの進行を促進する可能性があります。
これらの病気と歯周病の関連性は科学的に研究されていますが、まだ全てが解明されているわけではありません。しかし、歯周病は口腔内だけでなく全身に影響を与える可能性があるため、歯周病の早期発見と予防が重要であることは言えます。
また、歯周病を悪化させる要因として、喫煙やストレス、栄養バランスの偏った食生活などがあげられます。これらの要因に注意しながら、定期的な歯科健診を受け、専門家による口腔ケアを行うことで、歯周病と付随する病気のリスクを低減することができます。
歯周病かどうかを確認する
自分が歯周病かどうかを確認する方法は、いくつかの自己チェックポイントを用いて簡単に行うことができます。以下に、歯周病の初期症状や自己チェックの手順を紹介します。
歯周病の初期症状には、歯ぐきの腫れ、出血、口臭が含まれます。まず、歯ブラシを使って歯を磨く際に、歯ぐきから出血があるか注意してみてください。また、歯磨き後に歯ブラシやフロスを使用した際に、出血や歯ぐきの腫れが見られるかもしれません。これらの症状がある場合、歯周病の可能性が高いです。
口臭も歯周病の兆候です。他人から口臭が指摘された場合、または自身で感じる場合、歯周病が原因である可能性が考えられます。
さらに、歯周病の進行により歯が動揺することがあります。歯を軽く触ってみて、歯が動くかどうかを確認してみてください。動揺がある場合は、歯周病の進行が進んでいる可能性が高いです。
以下がチェックのポイントになります。
【歯ぐきの状態】- 歯ぐきが腫れているか
- 歯ぐきが赤くなっているか
- 歯ぐきからの出血があるか(歯磨きや食事中)
- 歯がぐらついているか
- 歯の見た目に変化があるか(歯が長く感じる、歯の間に隙間ができるなど)
- 硬いものが噛みにくい
- 口臭があるか
- 口の中の臭いの原因を特定できるか
- 朝起きたときに、口のなかがネバネバする
- 歯磨き後に歯間ブラシやフロスを使った際、詰まりやすい場所があるか
- 指を使って歯茎に軽く触れ、痛みや違和感があるかを確認
以上のチェックポイントをもとに、歯周病のリスクや進行具合を評価し、適切な治療プランを立てることができます。
歯周病は、歯周組織の炎症性疾患であり、歯ぐきの腫れ、出血、歯のぐらつき、口臭などの症状が現れます。
初期の歯周病は歯ぐきの炎症のみですが、進行すると歯ぐきと歯の周囲の骨が破壊され、歯を失うリスクが高まります。
歯周病の発症と進行には、歯垢や歯石の蓄積、喫煙、糖尿病などのリスク因子が関与しています。
大切な歯を失わないためにも、歯周病の早期発見と治療は非常に重要です。
歯科医師が、歯ぐきの状態を評価する歯周ポケットの検査やレントゲン検査を通じて、歯周組織と骨の状態を確認し診断します。
早期の段階で歯周病が発見できれば、専門的なクリーニングや歯周ポケットの除去、抗生物質の処方などの治療が可能となるのです。
もし少しでも気になる症状がある場合は、自己診断をせずに早めに歯科医院を受診しましょう。
専門的な知識と経験を持つ歯科医師が適切な治療を提供することで、歯周病の進行を遅らせ、歯と歯ぐきの健康を保護します。
歯周病の早期発見と治療は、あなたの口と全身の健康を守るためにも必要不可欠だと言えるでしょう。
歯周病にならないために
ふるかわ歯科では、歯周病にならないための丁寧なメンテナンスや、患者様ひとりひとりにあったケアをご提案し、いつまでも健康な歯でいるためのお手伝いをさせていただいております。 「あてはまる症状があるかも」「ちょっと気になるな」と思われた方は、1度お気軽に検診にいらしてください。 早期発見することで、歯周炎のリスクは軽減できます。 お子様も、お母様もぜひお待ちしております。監修者情報
大阪市生野区「ふるかわ歯科」
院長 古川 尊寛
愛知学院大学を卒業し、大阪歯科大学附属病院総合診療科勤務などの様々な経験を経て、2011年に父より継承開業。1973年の開業以来、地域に根差した高い医療を提供しており、今年で50年になる。根管治療・歯周病・インプラントなど、多くの修学実績を持ち、インプラント専門医の資格も習得。マイクロスコープ、高精度3Dスキャンなど最新技術を駆使し、地域に根ざした抜かずに守る「見える」治療を目指しています。